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脱水・熱中症とヒートショックから考える「備えの重要性」

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突然の体調悪化が命を奪うことも

高齢のご家族が一人で入浴中に倒れ、気付いた時には手遅れだった――。そんな話は決して他人事ではありません。夏の熱中症や冬のヒートショックは、いずれも静かに進行し、発見が遅れることで命に関わる危険が高まります。

これは、2024年5月~9月の全国で年齢区分別の熱中症の救急搬送者数です。

  • 総数:97,578人
  • 高齢者(65歳以上):55,966人(57.4%)
  • 成人(18~64歳):32,222人(33.0%)
  • 少年(7~17歳):8,787人(9.0%)
  • 乳幼児(生後28日~6歳):601人(0.6%)
2024年5月~9月の全国での年齢区分別の熱中症の救急搬送者数グラフ

グラフでは高齢者が群を抜いて多く報告されています。

なぜ高齢者は脱水・熱中症・ヒートショックのリスクが高いのか

高齢になると体内の水分量が減り、筋肉量も減少することで水分を蓄える力が低下します。また、のどの渇きを感じにくくなったり、トイレを気にして水分摂取を控えがちになる傾向も。体温調節機能も衰えるため、暑さや寒さに気付きにくく、症状が進行しても自覚しづらいのです。

この記事では、夏と冬に潜むリスクとその原因、実際の症例やデータを踏まえた現状、そしてそれらに備えるための整理サービスの役割について、丁寧に解説します。

夏に潜む危険「脱水・熱中症」とは?

野外の熱中症の老人

脱水症状の仕組みと熱中症の違い

脱水症は、体内の水分や電解質が不足した状態で、軽度でも注意が必要です。一方、熱中症は体温が異常に上がり、体温調節ができなくなることで、意識障害やけいれんを伴い、重症化すると命に関わります。熱中症の多くは脱水を伴って発生するため、両者は密接に関連しています。

高齢者が特に危険な理由

高齢者は暑さに鈍感になりがちで、エアコンを使用せずに過ごすケースも少なくありません。そのため、気付かないうちに体温が上昇し、汗をかく能力も低下しているため、熱が体にこもりやすくなります。2024年7月には東京都だけで123人が熱中症の疑いで死亡し、多くが高齢者でした。

2024年5~9月に大阪府監察医事務所が取り扱った熱中症死亡例は87人で、その多くが高齢者や独居者による自宅内での発症でした。自宅で亡くなったケースの約85%はエアコンを使用していなかったことも明らかになっています。

冬の脅威「ヒートショック」とは?

独居状態のお風呂上がりヒートショックのリスク

急激な温度変化が体に与える影響

ヒートショックとは、急な寒暖差により血圧が急激に変動し、心臓や脳に大きな負担を与える状態です。特に冬場、暖かいリビングから寒い脱衣所、熱い浴槽への移動が心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことがあります。心拍の乱れや血管の収縮が同時に起こるため、非常に危険です。

入浴時の事故は冬に集中

厚生労働省の調査によれば、令和3年度に高齢者が浴槽内で不慮の溺死や溺水で亡くなった人数は4,750人にのぼり、これは交通事故による死亡者の約2倍に相当します。事故は特に深夜から早朝にかけて多く、寒暖差が激しくなる時間帯に集中しています。

入浴中の事故を防ぐためにできること

温度管理と入浴習慣の見直し

・脱衣所や浴室に小型ヒーターを設置することで温度差を緩和
・浴槽のお湯は41度以下、入浴時間は10分以内を目安に
・浴室のふたを開けてお湯をためることで室温を上げる

家族や見守りの重要性

・入浴前後に声をかける、安否確認サービスの利用
・冷蔵庫に緊急連絡先を掲示し、誰でもすぐに見つけられるようにする

急変に気付けない「一人暮らし」のリスク

発見の遅れが命取りに

ご遺族の心配する姿

一人暮らしでは、体調の異変に誰も気付けず、助けを呼べない状況に陥ることがあります。脱水やヒートショックは静かに進行し、倒れてもそのまま放置される可能性があるのです。

特に注意すべき行動

・熱いお湯に長時間入る習慣のある方
・冬場の暖房を控える傾向のある方
・持病のある高齢者は特に注意が必要です

整理サービスが命を守る仕組み

緊急時の対応をスムーズに

遺品整理や生前整理サービスでは、部屋の片付けだけでなく、必要な書類の分類や緊急連絡先の整理も行います。これにより、緊急時の対応が格段に早くなります。事故現場の特殊清掃も迅速に対応でき、二次被害の防止にもつながります。

心の負担を減らす環境づくり

家族が急な出来事に直面した際、整理された住環境は心理的な負担を大きく軽減します。「大切なものがどこにあるか分からない」という不安も、事前の整理で解消されます。

地域とのつながりを強化

整理を通じて地域のリサイクル団体との連携や、近所の方との交流が生まれることもあります。これが「見守りネットワーク」の形成へと発展し、孤立の防止にも貢献します。

今できる3つの備え

1. 水分補給のルール化

高齢者が水分を控える理由の多くは「トイレが近くなるから」。これを防ぐためには、「1時間ごとにコップ1杯」など定時の摂取を習慣づけることが大切です。ペットボトルに目盛りをつけて摂取量を管理する方法もおすすめです。

2. 温度変化への対策

ヒートショックを防ぐには、室内の温度差をできる限り小さくする工夫が必要です。小型ヒーターや断熱材の活用、生前整理でスペースを確保し、安全な設備の導入をしやすくすることが効果的です。

3. 緊急連絡体制の整備

冷蔵庫の目立つ場所に連絡先を貼る、定期的な安否確認を受けられる見守りサービスを利用するなど、緊急時にも迅速な対応が取れる体制を整えましょう。整理された環境であれば、必要な情報もすぐに見つかります。

まとめと向き合い方

脱水・熱中症やヒートショックは、気付きにくく静かに進行するため、対策が後手になりやすいリスクです。しかし、日頃の備えでそのリスクを最小限に抑えることが可能です。

生前整理や遺品整理サービスは、ただ物を片付けるのではなく、残された人達の負担を減らし、心の整理を手助けします。
整った環境は心の余裕を生み、さらに平常時の周囲とのつながりを深めるきっかけにもなります。

次世代に迷惑をかけないためにも、自分自身が安心して暮らすためにも、今できることから少しずつ始めてみませんか? 季節の変わり目を安心して迎えるために、今日から整理の第一歩を踏み出しましょう。

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